痩せる仕組みのお勉強、第3回の今回のテーマはなんとも理科チックな「脂肪の作られ方」です。
理科ニガテ~!という皆さんの悲鳴が聞こえてきますが、大丈夫!文系のマミコがわかりやすくご説明します!
太る仕組みを理解すると、おのずとそれを避ける方法を選ぶようになりますよ。それでは、美しくなるためのお勉強スタート~。
ダイエットで意識しなければならないのは、カロリーだけではありません。脂肪と栄養素の関係も、重要な要素の一つです。
ここでは、摂取した栄養が、どのように脂肪となって貯蔵されるのかをご説明します。
炭水化物・脂質・たんぱく質の三大栄養素のうち、日本人にとって炭水化物はもっとも脂肪になりやすい栄養素と言えます。
これは、お米やパン、麺などの炭水化物が現代の日本人の主食となっているため、日常的に摂取量が多いことにも一因があります。
その炭水化物を例に、脂肪が作られる過程を見ていきましょう。
炭水化物が脂肪になるまで
皆さんもご存じのとおり、口にした炭水化物は体内でブドウ糖に変化します。
私たちの体は、その血液中に溶け込んだブドウ糖を燃料にして動いています。ところが、炭水化物を過剰に摂ってしまうと、エネルギーとして使い切れずに余ったブドウ糖が脂肪として蓄えられてしまうのです。
お米やパン、麺などの炭水化物を過剰摂取すると、以下のような過程を経て、脂肪になります。
鍵となるのは、インスリンというホルモンです。
- 血糖値の上昇とインスリンに気をつけて!
食事によって血糖値が急激に上昇した時、ブドウ糖が溶け込んだ血液はいわゆる「ドロドロ」の状態になります。
そのときに何が起きるかというと血管が攻撃されて、動脈硬化の危険が生じてしまうのですね。そうならないよう、分泌されるのがインスリンです。
インスリンは、血糖値を下げるために、血中のブドウ糖を最優先でエネルギーとして使うように全身の細胞へ指令を出します。ドロドロをサラサラにしようとするのですね。
すると、血中の糖はどんどん消費されますが、細胞内に貯蔵した出番を待っている脂肪にはいつまでもお声がかかることがなく、エネルギーとして使われないまま。しかもインスリンは、消費されずに余った糖も血中から除くように働くため、体内の脂肪細胞に取り込んで蓄えようとします。
炭水化物を摂りすぎて高血糖状態になると、それに伴ってインスリンレベルも高くなります。
インスリンレベルが高い状態が続くということは、つまり、余った糖が、どんどん脂肪細胞の中に取り込まれて蓄えられる状態が続くということ。
よく言われている「血糖値が急激に上がると、太りやすい」というのは、こうしてブドウ糖の量に合わせてインスリンが大量に分泌されることが原因なんですね。
ということは、血糖値の上昇を緩やかにすれば、インスリンの過剰分泌も抑えられ、血液に溶け込んだブドウ糖が体全体に行き渡ってエネルギーとして消費されるため、脂肪として蓄積されにくくなるというわけです(このページでは、あくまで仕組みをご説明しますので、血糖値の急上昇を抑える方法は、別項に譲るとします)。
ちなみに、血液に溶けて全身に供給されるブドウ糖は、脳にとっては唯一のエネルギー源なので、脳ではそのまま使われます。
ストック機能を持つ肝臓や筋肉では、ブドウ糖がたくさん結合した形の「グリコーゲン」となって備蓄され、必要なときに使用されます。
このとき、肝臓に備蓄できるブドウ糖の量は約350kcal、筋肉に備蓄できるブドウ糖の量は約1000kcalと言われています。
つまり、トータルでも全身に備蓄できるブドウ糖の量は約1350kcalということになります。
この容量を超えてしまったぶんが余剰として脂肪に変換されて、脂肪細胞に取り込まれるのです。
備蓄容量1350kcalを超えた糖は脂肪になる!
ボーダーラインとして、頭に入れておいてくださいね。
低炭水化物ダイエットの恐ろしい弊害
ここで、炭水化物を全く摂らなければ、脂肪蓄積のリスクを回避できると考える方もあるかと思いますが、それはお勧めしかねます。
前述のとおり、脳は、炭水化物から成るブドウ糖を唯一のエネルギー源としているため、炭水化物を一切摂らないと、脳の働きを低下させてしまう可能性があります。
また、糖質を極端に制限してしまうと、今度は肝臓が働くためのエネルギーが足りなくなってしまいます。
すると肝臓は、機能障害を防ぐために体中から脂肪を収集します。その結果、招かれるのが脂肪肝(低栄養性脂肪肝)です。
炭水化物を悪者と敬遠せずに、あくまで摂取する量を少なくするだけにとどめておくのが、質のよいダイエットだと言えます。
あなたは太りやすい体質?
自分が太りやすい体質なのかどうかを判断したい場合は、ひとつの目安として、思春期までの体形を思い出してみてください。
というのは、太りやすいかどうかは実は、先ほどから頻出している「脂肪細胞」の数が大きく関連しているからなんです。
脂肪細胞は、脂肪を貯めることができるタンクのようなものだと考えてください。
たくさんのタンクを持っている人は、それだけたくさんの脂肪を貯める能力があるということになります。
脂肪細胞は胎児期・乳児期・思春期に最も多くなります。
そしてダイエットしたい人にとっては残念なことに、一度増えた脂肪細胞は、数が少なくなることがありません。
ですので子どものころから思春期にかけてぽっちゃりさんだった方は、そのころに体内に脂肪を貯めることができるタンクをたくさん作って保有している状態なんですね。
そのため、大人になってスリムな体形になっていたとしても、体質としては太りやすい体質だと言えます。
子どものころは、脂肪細胞が増えていくことで体が大きくなりましたが、大人になってからの肥満は、少しわけが違ってきます。
大人になってからの肥満は脂肪細胞ひとつひとつが肥大することによって起きているのです。
普通体重の大人の体には250~300億個の脂肪細胞があるとされています。
体内に取り込まれて余ってしまったエネルギーは、脂肪としてこれらの脂肪細胞に貯め込まれ、脂肪細胞はどんどん大きく膨らんでいきます。
脂肪細胞は下腹部やお尻、太もも、背中、上腕の皮膚の真下と内臓回りにもっとも多く集まっているため、その部位は脂肪がつきやすいんですね。
この脂肪細胞がどれくらい膨らむかというと、直径で1.3倍、体積だと2.2倍もの大きさにまで膨れ上がるそう。
大人の普通体重の人の脂肪細胞は直径 70~90 µm (ミクロン。1ミクロンは1000分の1ミリなので、0.07~0.09㎜ということになりますね)で、これが最大約 130 µm(0.13㎜)まで大きくなるのです。そして脂肪細胞の数は、前述のとおり250~300億。
いくらミクロンというごく小さな単位でも、塵も積もれば山となるのです。
さらにうれしくないことに、ひと昔前までは脂肪細胞は思春期ごろを過ぎるとそれ以上は増加しないとされてきましたが、実は、大人になってからも増殖していくことが最近の研究で明らかになっています。
脂肪を目一杯とりこんで約 130 µmに達し、それ以上肥大できなくなった脂肪細胞は、今度は分裂して増えていくことが確認されました。
そうやって脂肪細胞が分裂・増殖した肥満の人は、そうでない人の2倍もの600~800億もの脂肪細胞を持っていると言われています。
子どものころにスリムだった方でも、成人してから脂肪細胞が増えることもあるのです。
女性は皮下脂肪・男性は内臓脂肪】
「太りやすのか、そうでないのかは脂肪細胞の数に由来する」と先述しましたが、太りやすさには、また別の基準もあります。「男女の別」と「脂肪の種類」です。
女性の場合は皮膚の真下、つまり皮下脂肪が肥大しやすく、男性の場合は内臓回り、つまり内臓脂肪が肥大しやすいという特徴があります(もちろん、女性は内臓脂肪がつかない/男性は皮下脂肪がつかない、というわけではなく「比較的」肥大しやすい、という意味です)。
皮下脂肪と内臓脂肪を比べてみると、内臓脂肪は「たまりやすく、減るのも早い脂肪」。
対して皮下脂肪は「たまりにくく、減らしにくい脂肪」と言えますが、それには血管の存在が関係しています。
脂肪を作る材料は血中から送り込まれてきます。また、脂肪を分解してエネルギーとして使用する際も、血中に放出して体内の必要としている場所へ送り出します。
そのため、血管が多い場所では脂肪は作られやすく、減らすことも比較的、容易です。反対に血管が少ない場所では脂肪は作られにくいのですが、エネルギーとして使うこともしづらいということなんですね。
内臓脂肪にはこの血管が多く、皮下脂肪には血管が少ないので、男性のぽっこりお腹はダイエットでサイズダウンしやすいのに対し、女性のお腹の浮き輪のような皮下脂肪はなかなか落ちにくいのです。
男女の別によっても、太りやすさ・痩せやすさにある程度の影響があるのですね。
【まとめ】
いかがでしたか?
脂肪の作られ方について書きましたが、あなただけのダイエット方法を探し出すには、あなたの体に脂肪がつく原因を知る必要があることが、おわかりいただけたと思います。
自分に合ったダイエットを確立するためにも、
・私の食事は、インスリンを大量分泌するような内容じゃないだろうか?
・私って脂肪細胞多めの人かしら?
・私をぽっちゃりさせているのは内臓脂肪と皮下脂肪、どちらかしら?
この3点をちょっとだけ、考えてみてくださいね!
今回は、脂肪の作られ方のお話でしたので、次回、第4回目の痩せる仕組みのお勉強のテーマは「使われ方」にしたいと思います。
題して【脂肪が消費される仕組みを知ろう】です。
